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現地在住日本人からのリポート〜インドの貧困とは〜

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貧富の差が激しい国・インド。と言っても貧困層と富裕層にどれくらいの差があるのかは、実際にインドに来てみないとなかなか分からないですよね。デリーなどの都会では富裕層をよく見かけるようになりましたが、インド全体ではやはり少なく、貧困層が多いのが現状です。その理由は様々ですが、カースト制度や教育水準の低さ、政治や社会環境の腐敗や汚職などが考えられます。私は外国人なのでインドの問題について偉そうに言える立場ではありませんが、貧困について、インド人の中で生活することで感じる矛盾や疑問を、インドで我が子を育て教育する立場だからこそ素直に、そして真剣に考えてみました。

インド貧困層の暮らしについて

slum

住宅街に突然現れる、雑な作りの家々が並ぶ地域。ここが貧困層の暮らす地域スラム(ジュッギー)です。都市部では道路や住宅も整備されているので、外国人でもすぐにその格差に気付くことが出来るはずです。ただし、地域によっては中流階級下層の家族が多く住んでいることもあります。特に外国人からは勘違いされがちですが、彼らは貧困層には入りません。都市部の貧困層とは、空いた土地に自分たちで家を作り生活をしている家族のことを指します。もちろん違法ではありますが、今では世帯が増えてその中でも決まりがあり、家賃も発生する一つのコロニーになっています。そのため、政府も今さら立ち退かせることが出来ず、協力的な姿勢も見せているようです。

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彼らは労働者、リクシャー運転手、掃除夫、メイドなどの仕事をしながら生計を立てています。基本的には田舎での貧困生活に困り都会で仕事を探したり、親戚を頼った出稼ぎの人が多いので、元から貧困生活を余儀なくされているインド人がほとんどです。田舎部で見られるのは、土作りの家に藁と瓦を重ねただけの屋根、牛やヤギを飼い、田畑を耕し、毎日数キロある井戸まで水くみに行き、小さな子供の面倒や両親を手伝う子供たち、と言った光景。インドの田舎には、このような生活を送っている家族がたくさんいます。インドの田舎は本当に何もない田舎です。日本のように田舎でも病院や学校、マーケットがある、などと言うことはありません。これらの施設は、数十キロ離れた町まで行かなければありません。

なぜ貧困は無くならないのか?

カースト制度の影響

poverty

カースト制度は各地域のインド人の生活に根強く残り影響を与えています。インド人同士は名字から出生地域とカーストを知ることが出来ます。上層カーストの人は下層カーストの人を馬鹿にし、汚い物を見るように接する人もいますし、関わりを持たないようにする人もいます。一方下層カーストの人も、つらくて腹立たしいことがあっても自分の身分を弁え、上層カーストの人とは一線を引いた生活をしています。田舎に行けば行くほどその差が激しくなり、下層カーストはひどい扱いを受けています。

下層カーストの人々は大昔からこのような扱いと生活を余儀なくされていたので、今なお自由もなく、貧困で苦しむ家族がほとんどです。しかし、現在では貧しいからと言って必ずしも下層カーストと言う訳ではなく、上層カーストの家族にも貧しい家族がたくさんいます。それは上層カーストであるがゆえにプライドと周囲の目が邪魔をしてしまい、どんな仕事でも良いからする、と言う訳にいかないからです。一方、下層カーストの人が努力や勉強をして成功した例もあります。

教育の影響

教育

インドには教育を受けられない子供がたくさんいます。政府は何もしていないのか?と思ってしまいますが、実は義務教育や貧困層のための学校もたくさんあります。募金で設立された学校もあります。その他、都市部の私立学校でも貧困層のために25%枠の入学が義務付けられています。ではなぜ教育を受けられないのか?その理由のほとんどは、親が学校に通わさない、教育が必要だと思っていないため。貧困層の家族は、一人でも多くの働き手が必要です。食べるためには子供も働かないと生活出来ないのです。田舎では、都会の富裕層のために我が子をメイドとして送り出したり、場合によっては売る場合もあります。親も教育を受けていないため、給料の良い仕事に付けず、良質な教育を受けられないまま大人になるので視野の狭い人間に育ってしまうのです。

 

school私立学校の場合、25%枠で合格が出来れば一般の子供と共に勉強しますが、高学年になると授業に着いていけず、辞めて政府管轄学校に編入してしまう子供がほとんどです。

女性差別の影響

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インドには男尊女卑の思考が根強く残っています。田舎に行けば行くほどひどい状態です。女の子は、はっきり言って”要らない”存在で、出産前に始末してしまう家族や出産後に牛乳に入れて殺してしまう家族もいます。性別が女性というだけで生まれることを拒まれるのはなぜでしょうか?

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インドでは結婚時に花嫁家族が花婿家族に持参金(ダヘージ)を持って行く風習があります。地域やカーストによっては持参金はかなり多額で、貧困層のみならず娘を持ったインドの両親にとっての悩みの種です。貧困家族では、一体どうやって支払えば良いのでしょうか?結婚後の支払いを約束して結婚はさせたけれど、結局支払えず、苦難の余り自殺をする花嫁や家族も多く、持参金のために花婿家族に焼かれ殺される場合もあります。そのため、政府は出産前の性別検査と持参金を法律上禁止にしましたが、この間違った風習は今もインド各地で続いています。

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その他、正しい道徳教育を受けていないインド人男性の中には、女性をただの性的道具と考える人もいるのです。そんな地域では、年頃の娘は外に出る事も出来ません。そのため、学校へも行くことが出来ず、結婚した後も、我が子に読み書きも教えられない状態です。

社会環境の影響

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インドでは政治家の汚職が大問題になっています。特に田舎の現状はひどいもので、不正な方法で政治家になれたり、政治家が殺人やレイプなどの罪に問われているケースが多々あります。その他、昔からその地域を牛耳っている家族がいます。彼らは自分たちが法律であるためやりたい放題です。もちろん、そんな政治家や領主に疑問や怒りを感じる一般庶民はたくさんいますが、彼らに逆らうと何をされるか分かりません。最悪の場合、不明死で片付けられてしまいます。彼らと警察、ヤクザは繋がっているので、誰もがその仕打ちが恐ろしくて何も言えないのです。自分のことだけを考える政治家や領主が多いために、一般庶民はつらい生活を余儀なくされているのです。

貧困とインド人

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インド人のほとんどは、中流階級家族です。彼らは家族を養うことで精一杯で、貧困層の事まで考える余裕がないのが現状だと思います。よく聞くインド人の言葉は「私のような何もない、ただの一般庶民にそんな大きな問題はどうにも出来ません。」「お偉いさんでも解決できないことはどうしようもない。」と言うようなもの。確かに、インド人にとってインドの貧困は大変大きな課題です。貧困の裏に隠された社会問題は、簡単には解決できない問題だと思います。

でも、インド人一人一人が貧困について無関心という訳ではありません。専属メイドには金銭面や精神面のケアをしている家族や、路上生活者や体が不自由な人の施設に毛布や古着を提供したりと、ボランティア活動に参加している人も多いです。一つ一つは小さなことですが、インド人も頑張っています。

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政府も貧困家族には米や豆などの普及や医療費用の還元などのサポートをしています。でも、この制度を悪用しているインド人が多いのも残念ながら事実です。一人一人のインド人の行動や思考が良い方向に変わって行くことが必要だと思います。今後のインドを背負う子供たちに期待したいですね。

WRITER 弥栄
ナマステ!インド、ニューデリー在住10年以上になりました。インド人夫と娘2人と共に、毎日、家事育児に頑張ってます。 インドはイメージ通り、汚い、熱い、辛い、人だらけ、、、です!そんなところを楽しめる体験や触れ合いツアーを主催しています。インドはいいな、また来たいな、そう思って頂けるツアー・記事を目指しています。 インド大好きな方、インドでお会い出来ることを楽しみにしてます。 旅行が好きでよく東南アジアに弾丸旅行に行きます。最近はヨーロッパにも徐々に詳しくなってきました。みなさんが旅に出たくなるようなおもしろい情報をご紹介していきたいと思います。

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